「フェアトレードのおかしな真実」を読んだ
アフリカとか東南アジアの農家の人が笑顔で農作物を持った写真とともに紹介されるフェアトレードだけど「実態ってどうなのよ?」ってのを作者が世界を調べて回った本なんだけどコレが素晴らしく面白い本だった。
まず初めに注意しないと行けないのは、タイトルが酷い。原題が「THE SHOCKING TRUTH BEHIND ‘ETHICAL’ BUSINESS」って通り環境や社会に配慮したビジネスの裏側って話で「エファトレード」よりももうすこし広い話。ただフェアトレードって言葉の認知度すらいまひとつかもしれないのでしょうがないのかなって思いもあったりはするけど「〜のおかしな真実」って所は安易過ぎ。もっとも、中を読むと分かるけど原題も商業的すぎるきらいはあったりする。さておき、内容的にはこんな流れ
- 潜水病の危険を顧みずロブスターを獲る漁師の話
- フェアトレードマークがついていると売れるってことでもてははやされる現実の話
- 中国のiPhoneを代表とする電子機器を生産するEMSのフォックスコンの話
- 中国のゴムを生産するためにラオスの北部がゴム林と化す話
- 内戦状態で欧米の企業が撤退後に非常に危険な状況で鈴鉱石を掘り出すコンゴの炭坑の話
- 麻薬の最大の供給地となっているアフガンのケシ栽培の現実
- 小規模ながらも本当に良いコーヒーを作ることで良い方向にまわっているタンザニアの話
- では大規模ではどんな事例があるだろうって事で紹介されたコートジボアールの綿花栽培の話
よしかわがそうだけど何気なく商品を買ってフェアトレードのマークがついているからってよい事をした気になっているけど、ちゃんと調べてみないと「グッドデザイン賞受賞」なんかと変わらないことになっていたりするよと。でも、そこまで考えるの面倒なんだよねって怠けているって痛い所をつかれてぐったりする感じも良いです。
ただ、少し前に読んだ「ゼロからトースターを作ってみた」って本でもそうだったけど、目の前にある何でもない物でも個人で作ろうとして調べ始めると、いま目の前にあるものがAさんからBさんへみたいな簡単な取引をしている訳ではなくて、複雑怪奇な経路を経て手に入っている訳です。
誰かが何かをしたおかげで目の前に商品なり食べ物があるのですが、例えばロブスターを食べる時に(よしかわはロブスターを食べないけど※特に理由はなく機会が無かっただけ)それがどんな方法でとられているかまで考えが及ぶかと言えばそれは難しいのも現実だったりします。
で、この本はそれを実際に見に行ってきたこと、そして全ては無理だとはいえ色々な事例がバランスよく紹介されていて素晴らしいです。企業のCSRというか、フェアトレードのマークと言うかコレから増えるであろうエシカルなんて言葉を見た時に「ちょっとまて」と考えるきっかけになる良い本でした。